症状が進行するにつれ、さまざまな合併症を引き起こすリスクが高まる糖尿病の看護には、数々の知識とスキルが不可欠です。また糖尿病の看護を担当する看護師の重要な職責として、患者さんに対しての指導があげられます。糖尿病の治療にはさまざまな医療法による血糖コントロールが必要なため、患者さんそれぞれに自身の健康状態を正しく理解してもらい、生活の中で継続的に適切な医療法を実践できる環境を整えてあげることが大切です。いわば患者さんのセルフケアのサポートであり、この作業に求められる主な知識とスキルは次の通りです。
まずは知識面ですが、医学レベルでの糖尿病の病態および合併症に関する知識が必須です。さらに、糖尿病の改善に効果のある食事療法や運動療法、薬物療法について知識、加えて糖尿病患者のメンタルケアについて理解も必要です。次にスキルに関してですが、まずは患者さんごとに異なる病状などから、適切なセルフケアがどのようなものであるかを見極める観察力と判断力が欠かせません。また先に触れた糖尿病治療に関する広く深い知識を、患者さんに理解できるように伝えられるコミュニケーション能力が大切です。
糖尿病の治療で採用されている、生活習慣改善効果を期待する医療法はいずれも、当人の意志が弱ければ継続実践が難しい内容です。患者さん自身がその必要性を理解納得のうえで自主的に継続実践できるよう、強制的かつ一方的な指導には走らず、相談にのる距離感で臨む姿勢が大切です。患者さんと二人三脚で病状改善を目指す、指導力と意思疎通能力をバランス良く駆使することが糖尿病専門外来の看護師には求められます。